人の生き方から学び、自己の生き方を探る道徳の時間を提案します。 |
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2 研究の実際 |
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(4) 実際と考察 |
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A 実践2の実際と考察 |
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読み物資料を前半と後半に分けて提示をし、前半では、主人公が中学・高校時代に部活動に一生懸命取り組む様子や、将来も陸上競技を続けたいという思いを紹介しました。 パワーポイントスライド資料 そして、高校卒業の際、進路先が真っ白になったときに焦点を当てて、主人公の気持ちを考えさせました。ここでは、主人公が葛藤した経験を紹介し、そのときの主人公の不安と迷いに共感させることにしました。高校卒業時という、生徒たちにとって比較的近い将来における気持ちを考えさせることは、より主人公の気持ちに、自分の経験や思いを重ねることができたのではないかと考えます。 発問は、主人公が抱いた「迷い」と「不安」の言葉を具体化させることにしました。この発問は、気持ちを問うよりも具体的に考えることができたため、ほぼ全生徒から予想される反応を出させることができました。授業の感想で、具体的に自分自身の挫折や迷いを合わせて記述している生徒の感想は下の通りです。
これらの感想から、主人公の挫折や葛藤を提示することは、生徒自身の挫折や迷いの経験を想起することにつながったと考えられます。また、挫折や迷いを経験していない生徒にとっても、主人公の成功や偉業だけではなく、苦労した部分に共感することによって、終末で道徳的価値を自分なりに発展させていくことへの思いや課題の記述につながったと考えます。 |
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実践2では、範例資料の特徴を生かすため、発問「牧瀬さんの考え方や生き方で、見習いたいと思うところはどんなことですか」と問い、ねらいとする価値を話合い活動の中で生徒たちから導き出す手立てを取ることにしました。ここでは、KJ法の手法を用いた話合いを取り入れ、班の話合いを通して、内容項目1−(2)と関連項目2−(6)の道徳的価値が出されることを目指しました。
今回の話合い活動の具体的な手順は次の通りです。話合いの手順については、パワーポイントを使い、全体で手順を説明しました。
パワーポイントスライド資料
話合い活動の様子 話合い後のまとめ 慣れない段階では多少時間が掛かりますが、授業全体の発問数を精選することで、この話合い活動に十分時間を掛けることができると考えます。何度か実践すると、スムーズな話合いができるのではないかと思います。 |
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○生徒の感想の考察 |
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終末の発問では、「あなたを見守ってくれている人の思いや支えに応えるために、これから何をしていきたいですか。」と問い、道徳的価値を自分なりに発展させていくことへの思いや課題を培わせることを目指しました。主人公の生き方に感銘を受けたことと、そこから自分の思いや課題へとつなげて記述した生徒が81%、主人公についての記述のみで終わっている生徒が19%でした。後者の生徒たちの感想を見てみると、主人公の生き方に強い印象を受けた感想になっていました。その内容には、班の話合いで深めたところをより具体的に記した感想で、資料に関心をもったであろうと思われる感想がほとんどでした。そこから自分の思いや課題へとつなげるためには、終末の発問をゆっくり丁寧に問い掛け、「自分のこれからについて、考えてみよう。」と補助発問をするなど、手立てが必要だと感じました。また、生徒Iや生徒Jのように、自分の思いや課題の記述ができていなくても、牧瀬さんの生き方について考えたことをしっかりと自分の言葉で書いている生徒もいました。評価の方法について、本時のワークシートだけではなく、学活ノート等の記述や生徒と相対して話す機会をもつことでワークシートに記述しなかった課題や思いを知ることができるのではないかと考えます。 授業後、生徒の感想を牧瀬さんにも読んでもらい、感想に対する返事を頂きました。本人と連絡が取れて授業後まで協力を頂ける場合は、このような手紙を教室に提示することで、生徒が授業を思い出したり、励まされたりすることができると考えます。
牧瀬さんからの手紙 |
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