| すべての単元づくりに共通する考え方 | 
      
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          国語科のすべての単元、学年において共通する基本的な考え方は同じです。
            それは、次の一文に表すことができます。『指導事項を、言語活動を通して指導する』
 ※この基本的な考え方を忘れず、授業に臨みましょう。
 
 単元づくりを行う時に必要な事柄は、右の図で示している4点です。
 この4点について、以下のことを考えていきます。
 ・指導事項は何か。
 ・児童の実態はどうか。
 ・教材の特性や内容はどのようなものか。
 ・どのような言語活動を取り入れるか。
 
 
                        【大切なこと】・
            教材を指導するのではなく、教材で指導し、他の単元を学ぶときや他の文章を読むときにも使える力を育てます。
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            指導事項、児童の実態、教材の特性や内容を把握した上で言語活動を取 り入れます。
 
 ・ここでは、「ごんぎつね」を例に、単元づくりの考え方について示していくことにします。
 | 【単元づくりを考えるときに必要な4点セット】 
 ○指導事項
 ○児童の実態
 ○教材
 ○言語活動
 
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        | 1  前単元までの学習の系統性を踏まえる | 
      
        |  | 【4年 物語文「ごんぎつね」の場合】 | 【 留 意 点 】 | 
      
        | (1)教科書の単元配列を確 かめる
 @領域
 A指導事項
 B取り上げてある言語活動
 | [東京書籍]@読むこと
 A場面の移り変わりに気を付けて、人物の気持ちの変化を捉える。
 B物語の一場面を書き換える
        。
 [光村図書]
 @読むこと
 A人物の行動や気持ちの変化を捉える。
 B読んで考えたことを話し合う。
 
 | 教科書の単元配列を以下の3点に注意して見てみましょう。 @ 領域(話すこと・聞くこと、書くこと、読む     こと)は何ですか?
 A 指導事項はどう示されていますか?
 B 取り上げてある言語活動は何ですか?
 
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        | (2)児童の言語活動の経験を  把握する | [東京書籍] ・3年生の物語文「サーカスのライオン」で人物の気持ちの変化を心情曲線をかいて読み取り、感想を書くことを経験している。
 [光村図書]
 ・3年生の物語文「ちいちゃんのかげおくり」で、場面の移り変わりについて読み取り、感想文を書くことを経験している。
 
 
 
 
 | 児童がこれまでにどの教材で、どのような言語活動を経験し、どんな能力を身に付けているかを把握します。 
 (例えば、3年生の物語文の指導を行う際に、2年生の時に物語文「お手紙」を、音読発表会を通して、人物の行動や会話から心情を想像するという読み方を経験している。ということを把握しておくということです。当然、3年生での物語の学習も把握します。)
 
 ※教科書教材系統表(光村図書版)、 教科書教材系統表(東京書籍版) をご活用ください。
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        | 2  単元で取り上げる指導事項を決定する | 
      
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        | (1)年間計画を見通す 
 | ・[東京書籍]も、[光村図書]も、「下」の教科書の最初の物語文として位置付けられている。 ・その前に、音読単元、あらすじをまとめる単元などを学習している。
 ・「ごんぎつね」の後にも、物語文の教材が2つずつ配列されている。
 
 | ・年間指導計画を見通してその単元で指導すること(指導事項/言語活動例)を決定します。 
 (
          例えば、3年生の物語文
          「ゆうすげ村の小さな旅館」で「内容を読み取り、あらすじをまとめる」学習を行い、次の物語文「サーカスのライオン」でも「内容を読み取り、あらすじをまとめる」学習を続けて行わないように心掛けます。)
 
 
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        | (2)指導事項をしぼる 
 | ここでの指導事項は、指導要領解説小学校国語編の中の、主に「C読むこと(1)ウ文学的な文章の解釈」にしぼることができる。 ※教材によっては、指導事項が2つ以上取り上げられていることもあります。
 
 ※指導要領解説小学校国語編の中のP130〜に「各学年の目標及び内容の系統表」を見ると、領域や学年のまとまりで取り上げられている指導事項が一覧できます。
 | ・国語科では、各領域に5〜6つの指導事項があります。これらの指導事項を、年間を通してバランス良く指導していきます。 
 ・指導事項を、年間で複数の教科書教材を通して繰り返して指導します。このことにより、身に付けるべき国語の能力が螺旋的・反復的に高まります。
 
 
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        | 3  取り入れる言語活動を選び、単元計画への位置付け方を決める | 
      
        |  | 【4年 物語文「ごんぎつね」の場合】 | 【 留 意 点 】 | 
      
        | (1)選ぶときの考え方 
 | ・3年生までに、「音読発表会」で人物の行動や心情を読み取って表現する活動を経験している。 ・4年生では、 「心情曲線と感想交流」を経験し、人物の性格や心情の変化を想像して読んでいる。
 
  「物語の一場面を書きかえる」      言語活動 ⇒「ごんぎつね」では、「物語の一場面を書きかえる」ことを通して、場面や人物の設定、人物の気持ちの変化など読み取ったことを表現させる。
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          「子どもたちが好きだから」「楽しく取り組めそうだから」という理由でではなく、「指導事項を指導するために、今の時期の児童(学級)にはこの言語活動がふさわしい」という考えをもつことが大切です。 
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        | (2)単元のどこに位置付け るかをイメージする
 
 
 | 言語活動を、単元のどこに位置付けると、子どもたちの読む能力が高まるかをイメージします。 ⇒六の場面を、ごんになりきって物語を書かせてみると、それまで読み取った場面や人物の設定を生かすことができる。
 
   導入部分で「物語を書きかえるためにごんの気持ちを読み取ろう」と投げ掛け、展開部分ではごんの気持ちを中心に読み取らせる。
 ⇒「物語の一場面を書きかえる」言語活動は終末に取り入れる。
 
 | ・言語活動を単元のどこに位置付けるかを考えておくことは重要です。一般的には@〜Bのように、言語活動を単元のはじめから終わりまで全体を貫く形で位置付けます。 
 @導入で、言語活動の目的をもたせる。
 A展開で、言語活動そのもの、またはその  一部ずつを取り上げながら指導事項を指導  する。
 B終末で、言語活動を活用の場として表現  させる。
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        | (3)言語活動の教材研究 | 「物語を書く」言語活動を行わせるために、どんな能力が必要かを挙げてみます。 @構成を捉える
 A場面や人物の設定をおさえる
 B行動や会話から人物の心情を想像する
 ⇒読み取る時に、@〜Bを重点的に指導すればよい。
 ★指導する前に、実際にやってみると、どんな能力が必要かが、分かります。
 
 | ・これまでも、教材文の内容についての教材研究はしてきましたが、「指導事項を、言語活動を通して指導する」という考えのもと、言語活動のもつ特性や効果について、教材研究をすることが必要です。 
 
 
 
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        | 4 単元の目標と評価規準を決める | 
      
        | (1)単元の目標の設定
 
 | @子どもたちが身に付けてきていること ・人物の行動や心情を読み取る。
 ・人物の性格や心情の変化を想像して読んでいる。
 A具体的な言語活動
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          六の場面を、ごんになりきって物語を書きかえる。
 ・読み取った場面や人物の設定を生かして
 短い物語(一場面)を書く。
 
 ⇒「ごんぎつね」では、場面のうつり変わりに気を付けて人物の気持ちの変化をとらえさせる。
 
  【単元の目標】
 『物語を書く活動を通して、場面のうつり変わりに気を付けて、人物の気持ちの変化を読み取ることができる』
 
 | ・指導事項を基に、以下の要素を踏まえて単元の目標を設定します。 @児童の(同系統の)前単元までの学習状況
 Aより具体的な言語活動の種類や特徴、教材等の特性等
 
 
 
 
 
 ★【単元の目標】は、教科書の教材のタイトル横に書いてあります。
 ★教科書の、単元の終わりの「てびき」を子どもたちに先に見せておくことで、学習の見通しをもたせることができます。
 ⇒東京書籍:「言葉の力」、光村図書「たいせつ」の欄には、その単元で身に付けさせたい能力について分かりやすく示してあります。
 
 
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        | (2)評価規準の設定 | 「ごんぎつね」での評価規準例 | 評価規準の設定については、以下の点に留意します。 ○「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」については、すべてをその単元で評価する必要はない。
 ○評価規準の項目としては「関心・意欲・態度」「話すこと・聞く能力(書く能力、読む能力)」「言語についての知識・理解・技能」の3項目を挙げることが基本。
 ○1単元では1領域の指導と評価を行う。
 ○領域を複合させて1つの単元を構成する場合は、4〜5項目の観点について評価する。
 
 ★1時間の授業の中で、音読をさせるときに「読むこと」の指導と評価を行う、話し合いをさせるときに「話すこと・聞くこと」の指導と評価を行う、といったばらばらの指導では焦点化した指導事項が指導できません。
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        | 【関心・意欲・態度】 「物語を書くために、場面のうつり変わりや人物の気持ちの変化に気を付けて読もうとしている。」
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        | 【読む能力】 「ごんになりきって物語を書くために、場面のうつり変わりに気を付けて、ごんや兵十の気持ちの変化をとらえて読むことができる。」
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        | 【言語についての知識・理解・技能】 「語句の性質や役割を理解し、表現に生かすことができる。」
 
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        | ※言語活動を設定した指導目標例については言語活動の取り入れ方や授業づくりの視点などが分かる教師用手引きをご覧ください。 | 
      
        | 5 単元指導計画を立てる | 
      
        | 言語活動を取り入れた単元指導計画づくり
 
   
 | ○育成すべき能力を身に付けさせるため、言語活動を単元を貫く形で位置付け、単元指導計画を作成します。 ○
          言語活動を行うために必要な能力を育成するための基礎的・基本的な知識・技能を習得させる場と、活用の場を設定することが重要です。
 
 
 | ★単元を貫く形で言語活動を取り入れ、導入から終末まで教師の手立てを意識して行うと、充実した授業を行うことができます。 
 
 
 
 
 
 
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        | ※具体的な単元指導計画の立て方については、授業モデルをご覧ください。 
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        |  ここで示した、「言語活動を取り入れた単元づくりのポイント」をPDFで示しています。どの領域、どの学年、どの単元においても活用できるよう、基本的な考え方を示しました。是非、ダウンロードしてご活用ください。 ダウンロードはこちら→「言語活動を取り入れた単元づくりのポイント」
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